自動車用触媒における環境汚染物質浄化反応の解明とモデル化
参考文献:Combustion Science and Technology (2020)
いかに素晴らしいエンジンが出来ても,排ガス規制をクリアしなければ市場に出せません.
三元触媒は自動車技術において最も重要な要素であるにも関わらず,その数値予測が不可能に近い状況です.我々はモノリス触媒のモデル化と反応モデルの開発に取り組んでいます.
モノリスハニカム触媒
実機に使用される自動車用触媒は,mmオーダーのハニカムセル内にガスが流れ込みます.その後,ガス分子はμmオーダーのウォッシュコート層内を拡散移動して貴金属にたどり着きます.貴金属はnmオーダーに分散されており,その表面に分子が吸着して反応し,生成物が脱離していきます.
以上のように,自動車用触媒では,mmのセル内でのガス流れから,マイクロメートルオーダーの多孔質拡散,nmの貴金属上での反応と,幅広いスケールの現象が関連しています.
燃焼工学研究室では,これら全てを適切にモデル化し,自動車用触媒における環境汚染物質浄化の挙動を,数値的に予測することを実現するため,研究を行っています.
研究では,下図のような装置を用います.気相化学種の測定では,広島大学内燃機関研究室の強力なサポートにより,FTIRを使用してモノリス触媒におけるガス転換特性を測定します.さらには,日隈聡士先生の協力により,表面吸着種の測定,および触媒そのもののキャラクタライゼーションを行っています.
数値計算は,以下を扱うソフトウェア,あるいは独自コードによって行います.